清原和博の告白を読了した。
これは彼自身の成功と挫折を綴った1冊である。
概要は下記の通り
「自分の人生を振り返って、どこからおかしくなったのかとか、 狂い始めたんだろうとか。苦しかったですね……」 覚醒剤取締法違反で逮捕されてから2年。栄光と転落の半生と、 自らの罪を悔いながら、鬱病、薬物依存とたたかう日々を赤裸々 に綴る。 岸和田リトルで野球を始めた少年期から、怪物の名をほしいまま にしたPL学園と甲子園の記憶、盟友・桑田真澄と袂をわかった ドラフト事件の真相とその後。西武ライオンズで4番として輝い た瑞々しい日々と数々の栄冠。憧れの巨人移籍後の重圧と屈辱――。 野球の申し子、甲子園のヒーローはなぜ、堕ちたのか。 執行猶予中、1年間にわたりすべてを明かした「告白」。 これは、どうしようもない、人間らしさの記録である。主な内容はこのようになっている。
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【告白1】 岸和田の少年
【告白2】 人生を変えた16の夏
【告白3】 甲子園のライバル、そして桑田のこと
【告白4】 1985年夏、最初で最後の瞬間
【告白5】 「裏切り」のドラフト
【告白6】 ドラフトの「傷」
【告白7】 黄金ルーキーの手帳
【告白8】 無冠の帝王のジレンマ
【告白9】 FA宣言――巨人という決断
【告白10】 松井敬遠、清原勝負の苛立ち
【告白11】 肉体改造とグリーニーの理由
【告白12】 ピアスに込めた反骨心
【告白13】 巨人解雇と涙の「とんぼ」
【告白14】 鳴り止まぬ仰木さんの電話
【告白15】 最後のひと花
【告白16】 初めて引退を考えた日
【告白17】 ユー・アー・オールドマン
【告白18】 清原和博は二度死ぬ
【告白19】 526本目のホームラン
【告白20】 俺、もうやめるわ
【告白21】 生まれ変わったら、もう一度
【告白22】 覚醒剤と心の穴
【告白23】 今もまだ暗闇の中にいる
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私もかつては野球をやっていたので、当時の巨人、西武、KKコンビなどは非常に好きでテレビで見ていたものだった。ある種スターであった選手がその後の薬物使用により転落していく様を自ら振り返っている。
正直、内容自体は非常に読んでいて、辛い感じがあった。やはり心のどこかに弱さがあって必然的にこういう流れになってしまったのだろうと感じることもある。
秀逸だなと思ったのは、この書籍は1年間のインタビューを綿密に繰り返し、記録者である書籍の執筆者がひたすらにまとめあげたものであるとあとがきで説明されるところだ。
この最後のまとめで、読者が思っていた感想、なんとなくもやもやしていたものが晴れるのだ。
折しも、教育が自らの行為を記録し、それを振り返り、内省することで学びを得て、次に進むという方向に舵を切ろうとしている。
清原は多くの代償を払ったが、自分に向き合うことができたのだろう。
これが今後どういう風につながるか、興味深いところだし、落差の激しい過去には向き合うこと自体が非常に難しく、自身だけでは難しいということも気づけた。
第3者が必要になる振り返りには行為の深さが関与する。そういう気づきをもらえる1冊だった。