2014年4月27日日曜日

デイビット・モイーズの偉大なる挑戦を振り返る

今シーズン、偉大なる監督サー・アレックス・ファーガソンが勇退した事は記憶に新しい。
多数の憶測が流れたものの、大方の予想通り、エバートンを指揮し、結果を残していたデイビット・モイーズがその後釜を担う事となった。
歴史と伝統のあるマンチェスターユナイテッドで偉大なるファギーの後を担う事による重圧は計り知れないものがあっただろうが、結果として彼の挑戦は実を結ぶ事なく表舞台から去る事となった。

遅すぎたマンチェスターUのモイーズ解任。香川真司にとっての今季、そして今後は?
モイーズ解任……崩れ去った誇り高き伝統 クラブと指揮官の間に生じていたギャップ

近年では結果が出ないとすぐに更迭されるケースが多いため、今回の解任は遅すぎたとする意向がある一方、アーセン・ヴェンゲルなどはもう少し時間を与えるべきだったとしている。
ここは様々な見解があるだろうが、個人的な見解としてはマンチェスターユナイテッドのフロントも結果がなかなか出ない中でよく耐えたが、結局それも耐えきれなかったなという印象である。

結果が出ないことは仕方のない事ではあると思う。1人のカリスマが27シーズンかけて作り上げて来たチームを引き継いだのだから、なかなかそれを率いる事は難しいだろう。
しかし、モイーズのチームは戦術的な光が見えなかったことは事実。元川さんのコラムにその辺は詳細があるが、4-4-2のブリティッシュオールドスタイルよろしく放り込みチームでしかなかったのだ。

どうしても日本人目線では香川を語らずを得ないが、ファギーはプレミアのスタイルに限界を感じ、間でプレーする事のできる香川を取った。それはバルセロナに完敗したCLでの教訓であり、その路線も踏襲することをモイーズには期待されていた。
しかし、彼はその踏襲もできず、もがき苦しんでいたのである。
結果、色々な組み合わせを試し、チームの軸が固まらず、結果もでない日々が続き、解任の憂き目にあったというわけだ。

モイーズは将来を嘱望されていたが、これで少なからずキャリアに傷がついたことは間違いない。しばらく休養することとなるだろうが、その後、どういったチームを率いる事となるのか注目している。

彼の偉大なるチャレンジから我々は何か学べないのだろうか。

僕は今回の解任を受けて、ジム・コリンズのビジョナリーカンパニーを思い出した。

企業がゴーイングコンサーンを行っていく上での事例をふんだんに扱っている書籍であるが、彼の結論として経営者がカリスマの場合、それが難しいとされる。
カリスマではなくシステマチックに企業文化、経営がなされている企業こそが永続し、結果を残す企業であるという訳だ。
つまり、マンチェスターユナイテッドというブランドある企業がファギーというカリスマによって成り立っている箇所が大いにあり、外様であったモイーズが招聘されたところで、その中ですぐに結果を残す事は難しかったという事だろう。
さらに、ユナイテッドにはスター選手が少なからずいる。
エバートンで実績を残していたとはいえ、所詮はEL争いをするチームのマネージャーだったわけで、一流選手からは舐められていたのではないかと個人的には推測する。
モイーズは懐刀としてフェライーニを獲得したものの、彼もお山の大将であって、マンチェスターユナイテッドでは結果を残せているとはいいがたい。

この一連の騒動として、僕が思う結論としては、やはりこのようなカリスマにおけるチームが醸成された場合、勇退に伴って外様マネージャーを連れてくるのではなく、ヘッドコーチやアシスタントとして数シーズン帝王学を学ばせ、選手からも信頼を集めた上で世代交代をするべきではなかっただろうか。

バルセロナのペップ・グアルディオラがBチームからAチームへ昇格した際も、憶測が流れたが彼は成功を収めた。これはクラブの哲学が一貫していることに加え、ペップが稀代な戦術家であり、かつてクライフの薫陶を受けたスターであったことなど、多くの要因が隠れているはずだ。
そういう意味でトレースするのはなかなか難しい。

ともかく、今シーズンの残りはギグスが暫定監督として指揮をするが、来期はファン・ハールの就任が濃厚である。
名門なので、カムバックにはそれほど時間はかからないだろうが、今回の案件では非常に学びが多かった。

私の好きなスパーズもヴィラス・ボアスを迎え、2シーズン目に突如解任してしまったこともあり、このフロントとマネージャー、実績の関係性については興味深く拝見しているところだった。
再帰をかけて、モイーズさんお待ちしてますw
今日はリバプールとチェルシーのビッグマッチもあるが、まずはこの騒動をまとめておきたかった。

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