2010年2月5日金曜日

人望や人徳のある人とは

いつもながら、橋本大也さんの選著は面白い。


人間集団における人望の研究―二人以上の部下を持つ人のために


橋本さんのブログをよく見るようになってから、マイケル・ポランニーや山本七平などの著書を知るようになった。

空気や暗黙知を論じた本だけど、非常に示唆に富んだ内容となっている。

やはり、データセクションでインターネット上に無数に広がるテキストマイニングなどを行っているので、そうした気付きを得ているのだろうか。

以下、メモ

俗に「人望がある」とか「人徳がある」というが、俗にではなくて厳密にそれってどういうことなのか、明解な答えを学べる本。「空気の研究」山本七平による昭和に書かれた名著。

その答えとはすなわち次の「九徳」を備えているタイプだという。

寛にして栗 寛大だが、締まりがある
柔にして立 柔和だが、事が処理できる
愿にして恭 まじめだが、ていねいで、つっけんどんでない
乱にして敬 事を収める能力があるが慎み深い
擾にして毅 おとなしいが内が強い
直にして温 正直、率直だが温和
簡にして廉 大まかだが、しっかりしている
剛にして塞 剛健だが内も充実
彊にして義 強勇だが義しい

9つの徳は朱子学の入門書『近思録』よりきている(この本は戦前は広く読まれたものであったらしい。)。これらの徳にすべて欠ける(寛大でなくて、 締りがないのような状態)と十八不徳といって最悪の人間だが、大体は寛大だが、締りがない、のように一方が欠けた九不徳が普通の人間になる。人望のある有 徳の人になるには「中庸」というバランスが大切なのだ。「中庸」という自己統御を通じて、それを他に及ぼしていく状態を現出した人が「人望のある人」なの であると説いている。

「人気」と「人望」が混同されることがあるが、この二つは別物だという指摘が鋭い。舞台では人気役者だが楽屋裏ではまったく人望がない人というタイ プがいる。そういう人は部下に慕われない。日本型の平等社会でリーダーに選ばれるのは、学歴や能力を超えた評価基準としての人望を備えた人なのである。人 気がある人は非常識であるが故に人気があるということも多い。非常識では人望は取れない。同じ能力ならば中庸な人が選ばれるということになる。


やはり、朱子学など中国古典にこういった内容は行き着くのだろうか。

ネットの世界は個人をエンパワーしてくれる最高のツールであることを改めて認識する。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

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