チームが機能するとはどういうことかというタイトルに惹かれて読了。
たしか、どこかのブログを読んで、すぐに手に取りたくなったように思う。
これかな。
「チームが機能するとはどういうことか」を考察してみた
ハードカバーなので、少し読むのに労がいるが、間違いなく今年ナンバー1の書だった。
チームで活動するのは、人間活動する上で欠かせないので、仕事だけでなく全てにおいて本書の考え方は適用可能である。
本書の指摘の通り、学習しながら不確実な事象に対処できるように絡んでいきたい。
また、本書は章ごとにまとめがあって、非常に良かったので、ネタバレになってしまうが、下記にメモをしておく。
下記のエッセンスで興味を持たれたら、ぜひとも本書を手に取っていただきたい。満足する事は請負である。
メモ
序文 エドガー・H・シャイン
■第1部 チーミング
第1章 新しい働き方
(lesson&Actions)
・今日の複雑で変わりやすいビジネス環境で成功するには、柔軟さと協力と恊働が不可欠だ
・チーミングはダイナミックな仕事の仕方であり、しっかりとしたチーム構造という安楽さを持つ事無く、必要な協力と恊働をもたらす
・チーミングとそれに関連するメンバー間の行動によって、組織学習が後押しされ、また最適な結果を得られるよう適切なリーダーシップの考え方が要求される。こうした仕事の仕方によって従業員は個人としても専門家としても成長する。これに対し、伝統的なトップダウン・マネジメントが行われる組立てラインの工場では、労働者はするべきことを指示される必要のある子供のように扱われていた
・前述したリーダーシップの考え方を表すのが、学習するための組織作りである。これは率直に話し、質問し、アイデアを共有することを促して集団的学習を促進するリードの方法である。
・学習しながら実行するというのは、絶え間ない学習を日々の作業プロセスの中に織り込む活動の仕方の事である。ふつう、これはチームの中で生まれ、学習するための組織づくりというリーダーシップの実践によって後押しされる。
・プロセス知識スペクトルは業務環境を分類するのに役立つツールである。仕事や部署、あるいは組織全体がスペクトルのどこに位置するかで、仕事の状況とそれに合うチーミングおよび学習目標が特定される
第2章 学習とイノベーションと競争のためのチーミング
(lesson&Actions)
・チーミングは今日の組織に必須だが、チームであれ組織であれそれを自然にうまく行えるようになることはない
・チーミングの成功には4つの行動、すなわち、はっきり意見を言う事、協同する事、試みる事、そして省察することが必要である
・そうした行動はサイクルの繰り返しによって成立する。新たなサイクルは毎回、前のサイクルの結果によって性格づけられ、望み通りの結果が得られるまでサイクルは続いて行く。
・チーミングにはいくつかのメリットがある。メリットは大きく2つのグループ、すなわち、組織のパフォーマンスがあがること、魅力とやりがいあふれる職場環境になることに分けられる。
・しかしながら、チーミングに不可欠な協調的行動はチームの中に緊張や対立を生む。対立がチーミングにとって望ましいものであることを理解していないリーダーや、対立に取り組むうえで必要なスキルを学ばないリーダーは失敗する運命にある。
・対立を収めるためには、リーダーは対立の性質を明らかにし、優れたコミュニケーションを具現化し、共通の目標を明らかにし、難しい話し合いから逃げずに取り組まなければならない。
・チーミングには取り組みがいのあるチャレンジが多々あるため、リーダーシップの役割にとくに注意を払う必要がある。学習するための組織作りという考え方をもち、実践するとチーミングと学習の両方を行える
・学習するための組織作りをうまく実行に移すためには4つのリーダーシップ行動が必要だ。学習するための骨組みを作る、心理的に安全な場をつくる、失敗から学ぶ、職業的・文化的な境界をつなぐの4つである。
■第2部 学習するための組織づくり
第3章 フレーミングの力
(lesson&Actions)
・フレームとは解釈であり、これを使って人は環境を感じて理解する。およそつねにフレームは自然に生まれる
・リフレーミングは、自分の行動を変えたり人々に変わってもらったりするための協力なリーダーシップツールである
・組織で働く人、とりわけリーダーの立場にある人がどのようにプロジェクトをフレームするかによって、成功するか失敗するかが左右される
・チーミングと学習を必要とする新たな取り組みをうまくフレーミングするには、役割と目標ーリーダーの役割、メンバーの役割、チーミングの目標や目的ーが大きく影響する
・自分の役割をフレーミングするに当たっては、リーダーは自分が相互依存していることをはっきり述べ、自分も間違う場合があることと恊働を必要としていることを伝えなければならない
・チームメンバーの役割を定義するにあたっては、リーダーはメンバーがプロジェクトの成功に不可欠な優れたメンバーとして厳選されていることを強く伝える必要がある
・メンバーのやる気を高め、団結させるために、リーダーは明確で説得力のある目標をはっきり伝えなければならない
・学習フレームの確立には4つの反復されるステップがある。登録、準備、試行、省察の4つである。
・学習フレームを強固にするためにすべきこと。まず、言葉と目を使った会話をする。期待される対人行動と協調的行動を、具体的な言葉を使って説明する。新たな手順がうまく進み、自信を高めやすくなるような行動を始める。様々な結果を使って、学習フレームの要素を視覚的に強固にする
・チーミングや学習においてよりよい結果を得るには、個人として行う次の戦術を使ってみよう。このプロジェクトは胸の躍るような機会に満ちている。と、自分に言い聞かせる。プロジェクトの成功に自分は不可欠だと考える。他のメンバーはプロジェクトの成功にとって重要である、と自分に言い聞かせる。以上の3つについて、それらが本当であるかのように他の人に話す。
第4章 心理的に安全な場をつくる
(lesson&Actions)
・心理的安全は職場環境での対人リスクがもたらす影響について、個人がどのように認識しているかを示している
・職場で直面する明確なイメージリスクとは、無知、無能、ネガティブ、あるいは邪魔をする人だと思われることである
・心理的に安全な環境では、信頼と尊敬の両方が特徴になっており、人々は間違ったり支援を求めたりしても罰を受ける事はないと信じる事ができる
・心理的安全があると自己表現や実りある話し合いが促されるため、それはチーミングや組織学習にとってなくてはならないものになっている
・心理的安全は仲良くなる事もパフォーマンス基準を下げる事も関係ない。むしろ、グループが高い目標を設定し、恊働と集団的学習によってその目標を目指して努力できるようにするものである
・心理的安全によって明確に7つのメリットがもたらされることが、研究から明らかになっている。心理的安全があると、率直に話す事が促され、考えを明晰にすることができ、意義ある対立が後押しされ、失敗が緩和され、イノベーションが促進され、目標とパフォーマンスの関係が穏やかになり、従業員の責任が向上するのである
・序列とそれが生み出す不安は心理的安全にネガティブな影響をもたらす。一般に、序列が下位であるチームメンバーは上位のメンバーほど安全性を感じていないことが研究から明らかになっている
・組織の心理的安全を高める上で、リーダーは重要な役割を果たす。しかし心理的安全は断じて、好きにつくってよいものでも命令されて生み出すものでもない。むしろ特定のリーダーシップ行動を必要とするものである。
・心理的に安全な環境をつくろうとするときには、グループの仕事や、それがどのように変化して来ているかや、しっかりやり遂げるためには何が必要かといったことに焦点をあてるべきである。これにより、心理的安全が必要であるという結論を、人々が自ら見出す事になる
・心理的に安全な環境をつくるために、リーダーは、直接話のできる親しみやすい人になり、現在持っている知識の限界を認め、自分もよく間違う事を積極的に示し、参加を促し、失敗した人に制裁を科すのをやめ、具体的な言葉を使い、境界を設け、境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる必要がある。
第5章 上手に失敗して、早く成功する
(lesson&Actions)
・観点もスキルもさまざまである人々を1つにまとめる場合、技術面でのチャレンジと人間関係上のチャレンジのために失敗は避けられないものになる
・失敗がもたらす貴重な情報のおかげで、組織はいっそう生産的、革新的になり、成功できるようになる。しかし、失敗に対して心理的、社会的に強く反応してしまうために、ほとんどの人が失敗を許されないものだと考えてしまう
・人間というのは、頭では組織の中で起きる多くの失敗が避けがたいものだと理解できるが心では失敗すれば非難を受けるものだとどうしても思ってしまう。これによって処罰に対する反応が起き、多くの失敗が報告されなかったり誤った判断がされたりするようになる
・失敗の原因はプロセス知識スペクトルのどこに位置するかによって異なる。ルーチンの業務では、失敗はふつうプロセスから少し逸脱する事によっれ起きる。複雑な業務では、不確実性や試みに原因がある事が多い。
・組織の中にはうまくいかないかもしれないことが数えきれないほどあるが、失敗は3つのカテゴリー、すなわち、避けうる失敗、複雑な失敗、知的な失敗に大別できる
・失敗に対する学習アプローチを開発しようと思うリーダーは、好奇心と忍耐と、曖昧さに対する寛容さを反映する探求志向を取り入れる必要がある。すると、失敗について安心して話せる環境ができ、素直さという規範がたしかなものとなる
・失敗に気づく事、失敗を分析する事、意図的な試みを行う事は、失敗から学ぶのに不可欠である。
・失敗に気づくのを促進するためには、リーダーは、問題を報告した人を歓迎する事、データを集め、意見を求める事、失敗に気づいたらインセンティブを与える事が必要である
・失敗を分析するのを後押しするためには、リーダーは、様々な専門分野から人材を集め、体系的にデータを分析しなければならない
・意図的な試みを促進するためには、リーダーは、試みとそれに伴う失敗にインセンティブを与える事、失敗から学ぶ事に対する心理的障壁を取り払うような言葉を使う事、より多くの賢い失敗が生まれる知的な試みをデザインする事が必要である
第6章 境界を超えたチーミング
(lesson&Actions)
・今日の職場でチームを組む人々が、同じ信念や考え方や意見を持ってる事はまずない。そうした差異は、意識して注意深く管理されなければ、恊働の邪魔をするかもしれない
・「境界」という言葉は、ジェンダーや職業や国籍を含め、人々の間にある目に見える領域と目に見えない領域の両方に当てはまる。また、境界は人々が様々なグループの中で持つ当たり前になっている思い込みや多様な考え方がもとになって存在する
・境界をつなぐには、あらゆる種類のグループ内やグループ間に存在する障壁を超えて通じ合おうとする意図的な試みが必要になる。技術の急速な発展やグローバル化の重視により、今日の職場環境においては境界をつなぐ重要性が非常に高まって来ている
・チーミングを行う時に最も多くぶつかる境界は3つある。物理的な距離(場所に関する相違)、知識に基づくもの(組織や専門知識に関する相違)、地位(序列や職業的な地位に関する相違)の3つである
・上位の目標を設定し、関心を深め、プロセスの指針を示すのは、境界を超えたよいコミュニケーションを促進するための重要なリーダーシップ行動である
・地理的な境界を克服するために、グループメンバーは定期的に他のメンバーの職場を訪れ、その職場特有の知識にしっかりと注意を払い、知識の保存と交換に貢献すべきである
・組織の多様性によって生まれた知識の境界を克服するために、グループメンバーは一人ひとりの観点を共有し、各組織がもたらす価値を重視し、集団的アイデンティティを確立すべきである
・組織の多様性によって生まれた知識の境界を克服するために、グループは専門技術に基づく知識を共有し、集団的アイデンティティを確立し、図面、モデル、試作品のようなバウンダリー・オブジェクトを活用すべきである
・ピラミッド型組織の境界を克服し、経験される地位による相違を最小限にするために、リーダーはどんなものでも受け容れる姿勢をもち、事前対策的にグループメンバーと会話をすべきである
■第3部 戦略実行しながら学習する
第7章 チーミングと学習を仕事に活かす
(lesson&Actions)
・学習しながら実行するというのは、今行っている仕事に学習を組み込んだ活動の仕方である
・学習しながら実行する活動の仕方と対照をなすのが、効率を追求しながら実行する活動の仕方である。これは柔軟性よりも支配を、試す事よりも忠実さを重視し、不安によって支配と順応を促進する事がしばしばある
・学習しながら実行することは、状況を診断して、その状況がプロセス知識スペクトルのどこに位置しているかを考えることから始まる
・人はつい、自分の仕事はルーチンだ、ニーズに応じて変更される、あるいは創造的だと当たり前のように思ってしまう。そのため、少し時間をとってじっくり診断することが重要である
・過去に例のない状況が誤って診断された場合、効率を追求しながら学習する活動の仕方が当たり前のように使われていると、サービスに著しい不具合が生じる可能性がある
・学習しながら実行することは4つのきわめて重要なステップー診断、デザイン、アクション、省察ーから成っており、プロセス知識スペクトルのどこに位置する仕事かによって違いがある
・学習しながら実行しつづけるには、リーダーシップが不可欠である
第8章 成功をもたらすリーダーシップ