2012年12月29日土曜日

ビッグデータ時代の新マーケティング思考を読了!

多分今年最後の更新。

ビッグデータ時代の新マーケティング思考

オプトの海老根さん、デジタルインテリジェンスの横山さん、鹿毛さんという布陣の書籍。
ビッグデータとトリプルメディアとマーケティングの考え方が掲載されている。
すでに実務でやっている人間にはあまり目新しい内容はないが、アドテクノロジーを活用し、そこからリードナーチャリングやCRMなどにつなげていく考え方は、僕の考えとも同じなので、共感できた。

通常のメーカーなどのマーケティングでは当たり前だったペルソナの構築などをたくさんのデータが取れるようになり、Web企業でもそういう考えをやらなければならないと提言した素晴らしい本である。

ビッグデータに興味があるけどどうしたらいいかという企業マーケター向けの本であるだろう。

欲を言えば、ここからもう少し拡張してHolistic Marketingまで提言してくれれば★4つくらいだったかな。このシリーズいつもそうだけど、賞味期限はわりと早めなので、読むならば早い方がいいでしょう。

■目次
はじめに

Chapter1 ビッグデータの時代
■ビッグデータとは何か?
■ビッグデータは“バズワード"か
■背景1)インターネットとスマホの普及
■背景2)データ蓄積容量の拡大
■背景3)クラウド化
■ビッグデータの3つの特徴
■あらゆる産業に効用をもたらす
■ストック型/フロー型
■スピーディ―で正確なリコメンデーション:Amazon
■分析速度の向上によるパフォーマンスの改善:ぐるなび、Macy's
■包括的な活用でさまざまな成果が実現:KDDI、楽天 /他
〈コラム〉東日本大震災に見る社会の「きざし」の推移
〈コラム〉やりましょう! ~ユーザーの声を経営に生かす孫正義流「ソーシャルデータ活用」術~

Capter2 ターゲットの再定義
■「ターゲット」はどのように想定され、検証されてきたか
■送り手主導のコミュニケーション開発
■「枠」から「人」へのパラダイムシフト
■「反応した人がターゲット」
〈コラム〉ターゲティング広告の系譜~ネット広告による革命と次世代ターゲティング~

Chapter3 ビッグデータ時代のマーケティングコミュニケーション
■顧客データがシングルソース化し“ビッグ"に
■4つの施策チャンネル(流入元・自社サイト・CRM・ソーシャル)のマトリクス
■一元化できない/しにくいデータは分析活用できないのか?
■自社サイト上にビジネスやマーケティングに貢献する“目論み"を置くということ
■“目論み"をゴール設定に置き換え、KPIに分析することでデータに意味や役割を持たせる
■顧客体験を網羅的にマネジメントするということ
■オン/オフラインの住み分けと融合を同時に行う /他
〈コラム〉アトリビューションとリ・アロケーション

Chapter4 未来の顧客を発見する
■ターゲット策定プロセスの変化
■現在の顧客から未来の顧客を見つけ出す
■顧客化したユーザーのリテンションを高める新手法
■広告に反応したユーザープロフィールを確認した事例
■プロフィールとペルソナ
■行動データを分析し、ペルソナを設定する
■複数チャネルのデータを融合する

Chapter5 反応者志向の発送でビジネスの常識が変わる
■単純な「ニーズ」などもはやない
■反応者志向のマーケティングへ
■「行動」こそ真実がある
■「発見のマーケティング」の時代へ
■事業ドメインの考え方さえも変わる
■事業ドメインごとにユーザー群を育成するブランディング
■マーケティングミックスはこう変わる
■新しいWebマーケティング1
■広告会社はなくなる!?
■次世代の広告マンへ /他
〈コラム〉テストマーケティングを繰り返し潜在的な顧客を拡大~フリークアウトの場合~
〈コラム〉ターゲットも事業ドメインもFacebookでユーザーの反応を見て考える!

おわりに

2012年12月28日金曜日

複雑ネットワークを読了

少し遅れてしまったが、今年この本を読了したので、ブログにかいとこ。

複雑ネットワーク―基礎から応用まで

ネットワーク研究で有名な増田先生の著書。
ふとネットワークに興味を持ち、輪読会形式の読書会ですべてを読破した。
複雑ネットワークに関する基本的な内容から具体的なモデルなどの詳細な説明をグッと説明していただいている。数式展開がかなりあり、なかなか読みごたえもあるし、ところどころ展開を飛ばす箇所もあり、独学するとなかなか厳しいかもしれない。
しかし、非常に勉強になるトピックが多く、引き続きレファレンスとして本棚に常備しておきたい1冊だ。

■目次
第1章 準備
 1.1 複雑ネットワークとは
 1.2 グラフの基礎
第2章 ネットワークの特徴量
 2.1 次数分布
 2.2 平均距離
 2.3 クラスター係数
 2.4 次数相関
 2.5 中心性
 2.6 コミュニティ構造
 2.7 モチーフ
第3章 実データ
 3.1 人間関係ネットワーク
 3.2 インターネット関係
 3.3 食物網
 3.4 神経系と脳
 3.5 システム生物学のネットワーク
 3.6 その他
第4章 古典的なグラフ
 4.1 完全グラフ
 4.2 空間に埋め込まれた格子
 4.3 木
 4.4 ランダムグラフ
 4.5 複雑ネットワークに向けて
第5章 スモールワールドネットワーク
 5.1 Watts-Strogatz(WS)モデル
 5.2 WS モデルの解析
 5.3 地理的なモデル
第6章 成長するスケールフリーネットワークのモデル
 6.1 Barabasi-Albert(BA)モデル
 6.2 BA モデルの次数分布の導出
 6.3 優先的選択ルールの拡張
 6.4 頂点コピーモデル
 6.5 Holme-Kim モデル
 6.6 適応度モデル
 6.7 頂点非活性化モデル
 6.8 階層的モデル
第7章 成長しないスケールフリーネットワークのモデル
 7.1 コンフィグモデル
 7.2 一般の次数分布をもつ木
 7.3 Goh モデルと Chung-Lu モデル
 7.4 隠れ変数モデルと閾値モデル
第8章 ネットワーク上の感染伝播モデル
 8.1 パーコレーション
 8.2 スケールフリーネットワーク上のパーコレーション
 8.3 選択的攻撃
 8.4 WS モデル上のパーコレーション
 8.5 SIS モデル(コンタクトプロセス)
 8.6 SIR モデル
第9章 ネットワーク上の他の確率過程
 9.1 進化ゲーム
 9.2 ランダムウォーク
 9.3 カスケード故障
第10章 ネットワーク上の同期
 10.1 結合位相振動子
 10.2 結合力学系
第11章 付録
 11.1 アルゴリズム集
 11.2 複雑ネットワークの情報源

勉強会資料一覧

















他にもあるのだけど、あがってなかったりするので、一部割愛。

2012年12月27日木曜日

2012年を振り返ろう

気がつけば2012年ももうあとわずかです。ホントに早かった。
毎年恒例で自身の1年を振り返ってログにしたためているので、今年もやります。

去年のやつ
2011年を振り返ろう

転職

まあ、今年の始まりはこれにつきます。実は昨年の今日、そういう話を今の社長からいただいて急転直下で決心したという経緯があります。

去年の振り返りにも書いていますが、それまで携わっていたプロジェクトがおじゃんになって、今後の身の振り方を考えていたところでした。しかし、個人的にもデータ分析の仕事をもっと追求してみたかったし、世の中の動きも今年の「ビッグデータ」ブームを思い返してみてもらえば、この選択は正しかったのかなと思っています。

前半戦は、データを分析してアウトプットを出すという仕事に慣れていくということに尽きるでしょうか。やはり企業カルチャーも違うし、やってきた仕事も違うので、そこへの順応性という点では少し苦労したような記憶があります。
でも、2、3ヶ月で慣れたことも考えれば比較的スムーズだったし、今の会社が勉強会などを通じて教育に熱心なことも関係していると思います。

また、to dare is to doに関してはとりあえず最低限のチャレンジはできたというように思っています。
転職もそうだし、少し背伸びした勉強会への参加(複雑ネットワーク)、自身もスピーカーとして参加したり、後半には勉強会を主催し始めたりと、個人の活動として場がかなり広がってきたように感じます。
まだまだ足らないことは多いですが、情報を発信することで新たな人脈が出来たり、自分に足らない点が浮き彫りになったりと非常によいフィードバックを得ることができたように思います。これは引き続きやっていこうかな。

なので、2011年に比して、2012年はそこまでの幅はないかもしれないが、飛躍はできたのではないかと思います。

来年のテーマはどうしようかなと思うのですが、「ワイドにしっかりと」というテーマでチャレンジしていこうかな。

まず、何がワイドなのかというと、色んなイベントに参加したり、仕事も色んなところの会社からの分析を受けてたりするんだけど、常に理解やアウトプットのボトルネックが自分自身であると感じてます。
比較的幅広な守備範囲なので、うっすらとしたアイデアは出るのだけど、実現性に乏しいので、そこをしっかりと理論や技術を理解して実現可能にしていきたいということを2013年のテーマにしたいですね。

具体的なワードとしては、最適化、awk、MCMC、マルチレベルモデリング、階層ベイズ、Pythonなどなどですかね。
後は個人的な活動としては、もう少し金融系のことをやっていきたい。元々ファイナンシャルリテラシーをどのようにして向上させていくかというイシューが僕にはあるので、アグリゲーションや会計サービス、各種会計、税制に関して色々なプレイヤーと絡みながら自身でもできることをやっていきたいなぁと。

あとは、本などのコンテンツ整備をしたい。タブレットで本格的に電子書籍による蔵書を行いたいし、一方で本として残しておくべきものなどの線引きをしたい。あと、自身のライフログとして色々なデータを残していきたいな。そこから得られることも多いと思う。
あとは少し鍛える。体を絞らないといけないので、負荷の高い運動をもっと行う。

うん。色々と高い目標を掲げたけれど、来年も思いのままやっていきたいと思いますので、皆様どうぞよろしくお願いします。

それでは、よいお年をお迎えください。

2012年12月25日火曜日

モダン3バックの復権


Footballistaの先月の3バックの復権の記事を読んだ。

現在イタリアのセリエAでは、3バックシステムを導入したチームが多くなっている。
元々マッツァーリやグイドリン、ガスペリーニなど、3バックに執着している監督は多いのだが、最近ではコンテや門テッラ、ストラマッチョーニなどの若手監督も導入に踏み切り、成功を収めている。

これらの要因については主に2つ要因がある。

1、ビルドアップラインの引き下がり
少し前のトップ下、いわゆる10番が試合を組み立てるチームがここ数年の戦術的向上により衰退してきたことは周知の通りである。そこからピルロに代表されるように、近年ではレジスタの位置でゲームを組み立てる戦術が主流だった。
しかし、ミランが最後にCLを制したとき以来、そのレジスタによるビルドアップにも対応策がなされ、多くは最終ラインのビルドアップを余儀なくされてきた。ここは世界的なトレンドだが、イタリアではこのCB組立てが3バック導入の契機になったようだ。

2、前線からのプレッシングとダイナミックなウイングバックの存在
サッキのミランの頃より始まった前からのプレスが浸透し、一部のクリエイティブプレーヤーを除いて、全ての選手に守備の役割が求められるようになって久しい。2の結果による1という点も考えれば、分けて考える点ではないのかもしれない。また、ナポリのマッジョ、スニガやインテル長友など卓越した運動量を誇るウイングバックの存在も大きい。時に攻撃のサブオプションとしてダイナミックなダイアゴナルランを求められたり、3トップが相手の時はバックラインに戻り守備を全うするなど幅広い戦術理解を求められている。

以前、3-4-3について少し考えたことがあった。

3-4-3 システムとそれに臨む監督たち

インテルのガスペリーニに焦点を当てているがストラマッチョーニが3-5-2で今の体裁を取っていることを考えると、もう少し柔軟な姿勢を示せればよかったのかなと思う。
(カッサーノの加入も大きいけど)

日本の3バックの可能性という点はどうかなと思うのだが、サンフレッチェがそれでJを制しているので、可能性はなくはないのだが、代表に招集される選手は多くが4バック制のチームなのでセレクターがザッケローニとはいえ、可能性は薄い。

現在のイタリアではユヴェントスが最も完成度が高く、ピルロのレジスタもマッチしているので、CLでの他リーグと相まみえるところが楽しみだ。

2012年12月23日日曜日

100年先を読む―永続への転換戦略を読了

100年先を読む―永続への転換戦略

100年先を読むというタイトルの本。なかなか未来のことを予見するというのは難しいものであるが、著者の月尾さんの幅広い知識による内容には舌を巻いた。

そもそも僕がこの本のことを知ったきっかけはMITの石井裕先生の講演を聞いた際に、先生がオススメしていたことがきっかけだった。
なるほど、識者によるレコメンドに耐えうる素晴らしい内容であった。

内容は直近の出来事や東日本大震災に関する話から、古くはカルタゴの歴史まで機知に富む内容の数々であり、バリエーションの豊富さが著者の叡智を物語るかのような内容であった。

ほとんどすべてが重要な個所だったと思うのだが、個人的に最も共感したのは日本の箱もの行政の継続性の欠如に関する指摘である。
折しも最近、トンネルの落盤事故によってその事実が浮き彫りになったわけであるが、昨年の段階ですでに指摘をされていることだ。

また、循環型社会の件にも触れられているのだが、ここでも思う点が多々あった。私は東京に住んでいるのだが、東京は人工物ばかりでなく、自然と共生しようと人工物と自然が混在している。
しかし、その維持管理コストについては、かなりの負担があると思う。
例えば、秋から冬にかけて紅葉が散っていく時期だが、通常の自然環境では落ち葉による堆積が土壌に対しての養分となるエコシステムがあるのだが、東京の場合、下はコンクリートであるため、放置すると景観が崩れてしまう。そこで、人が介在し、その落ち葉を除去するのだが、本来であればうまくサイクルが回っていたはずが、人工介在によって崩されてしまっているよい例なのではと感じている。

他にも枚挙にいとまがないのだが、キリがないので、この辺で。
本書は多くの人に読んでもらうべきだと思うし、日本の良さを今一度再考でき、認識することのできる内容であるため、僕も人にオススメしていきたいと思う。間違いなく星は5つ。

■目次
第1章 開発から回復へ
(「はなやか」で「はかない」人間地球の限界を突破した人類 ほか)
第2章 拡大から縮小へ
(有限の地球に必要な縮小への転換日本発の縮小文化を世界へ ほか)
第3章 画一から多様へ
(画一的な時間感覚からの脱却効率から多様への転換 ほか)
第4章 物質満足から精神満足へ
(反面教師カルタゴの遺訓精神文化の衰退が国家を滅ぼす ほか)
第5章 震災を越えて
(計画停電から計画節電への転換節電は日本の構造転換の契機 ほか)

2012年12月20日木曜日

Rで固有値と特異値分解の計算をする方法


R Advent Calendarの20日目の記事です。

今年初めてAdvent Calendarに参加させていただきました。
大した内容を書けず恐縮ですが、生暖かい目で記事みてもらえると助かりますw

Rはベクトルでの表現であることは周知の通りです。

なので、Rにはそのようなベクトルを求める関数があります。

今回は個人的に学びたかった固有値と特異値分解を行う関数を紹介します。

■固有値を求める関数

固有値と固有ベクトルに関してはWikipediaに詳細な説明が載っているので、そちらに譲ります。

固有値

Rでベクトルを求める際に使われる関数はeigen関数です。
eigen関数を使って下記の行列の固有値、固有ベクトルを求めてみます。





#ベクトルの固有値、固有ベクトルを求める
eigen(A)

$values
[1] 4.5615528 0.4384472
$vectors
           [,1]       [,2]
[1,] -0.2703230 -0.8719282
[2,] -0.9627697  0.4896337
 

$valuesが固有値、$vectorsが固有ベクトルです。
これで固有値と固有ベクトルが求められました。

■特異値分解を求める関数

固有値を求める問題では、正方行列を対象としていました。
しかし、多くの場合、そういった形状でないケースが多くあります。

n行p列の行列Bが与えられたとき、下記のようにBを3つの行列の積に分解することを
特異値分解と言います。




Rで特異値分解をするときは関数svdを使います。
下記のような行列Dを特異値分解してみます。


#特異値分解を求める
svd(D)
$d
[1] 6.881910 1.624598

$u
           [,1]       [,2]
[1,] -0.7677517 -0.6407474
[2,] -0.6407474  0.7677517

$v
           [,1]       [,2]
[1,] -0.6324555 -0.6324555
[2,] -0.7071068  0.7071068
[3,] -0.3162278 -0.3162278
 
Rから返されてきた$uが分解式のU、$vがVの部分に相当し、$dが主対角行列のDλの対角要素です。

このように、Rはベクトル演算がとても簡単にできるので、その後の分析にも重宝されますね。

P.S
いまだにRのコンソールをたたいていたのですが、昨日R Studioの良さを力説されたため、ようやく使い始めました。

それでは、皆様よいお年を。

2012年12月11日火曜日

メディチ・インパクトを読了した


メディチ・インパクト (Harvard business school press)

メディチ・インパクト。イノベーションにまつわる書籍である。
なぜかAmazonで新刊が売られていないらしく、中古のみの出版になっているようだ。

イノベーションのジレンマのクリステンセンも絶賛した内容と帯にあるが、あながち間違いではない。

イノベーションは交差点に生じるとの視点は非常に参考になったし、イノベーションが生じる余地には失敗も必要であるとの指摘はなるほどと感じた。
イノベーションの本と言えば、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」やシュンペーター、ドラッカーなどの書物が有名だが、 これも立派なイノベーション論の著書である。


参考までに私見だが、関連書籍として、エッジエフェクトやアイデアの作り方を想起した。

以前読んで書いた感想
エッジエフェクト(界面作用)を読了!!

「アイデアのつくり方」を読了!!

あと、梅田望夫がウェブ進化論の中で語っていた知の高速道路のけもの道の概念も同じような印象かなぁ。

目次
第1部 交差点
(イノベーションの生まれる場所交差点が生まれるとき)
第2部 メディチ・エフェクトを生み出す
(垣根を取り払う連想のバリアを壊す偶発的な概念の組み合わせ ほか)
第3部 交差的アイデアを形にする
(失敗を乗り越えて実行せよ決してひるまず、成功へと前進する
既存のネットワークから飛び出す ほか)

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