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2012年1月15日日曜日

虐殺器官を読了

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

伊藤計劃の書籍。本来は本書が彼のデビュー作のようだが、
私は先に「ハーモニー」を読了している。
「ハーモニー」での圧倒的な近未来の世界観に圧倒された記憶が
今も鮮明なので、前作も購入したというわけ。

さて、本著の舞台は近未来の世界で、9.11以降、世界がテロ・戦争が
勃発している世界である。クラヴィスという主人公は米情報軍の大尉で
暗殺をメインの仕事としている。常に"死"がつきまとう存在だ。
そんな彼も母親の死を決断した過去があり、それについては
ずっと頭の片隅に残っているという一面がある。
これは"Euthanasia"(安楽死)のコンテキストで語られる葛藤でも
あると思うが、本書では日常との対比での1つの死として扱われる。

また、サイエンステクノロジーが進歩しており、脳のモジュール構成が
わかっているし、そのような話にはSF好きの血が騒ぐ内容だ。
別の著書でもそうだが、凄惨なシーンも繊細な描写で表現されているので、
若干抵抗を感じる点もあるが、それを補ってあまりある世界観は必見。

また、バイオメトリクス認証の記述があるのだが、そこにはなかなか示唆に富む内容。体内に埋め込まれたタグで、認証を行うのだが、認証が行われればその後は無警戒。これはどこでもそうであり、機械化による人間の判断基準の陳腐化ともとれる。

Web認証系も今はなかなかセンシティブだけど、こういう観点も知っておくのはよかった。

とにかく、面白いし、いろいろと考えられるので、ぜひ読んでみてください。

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