2012年1月25日水曜日

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学を読了した

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

長らく読み途中だったマーク・ブキャナンの著書。

2009年に文庫が出されてわりとすぐに買ったのだが、長いこと積読にしてしまった。

歴史はベキ乗則で動くというタイトルに惹かれて買ったのだが、まさにそれはリーマンショックならびにブラックスワンを読んだ結果に本書を購入したという経緯がある。

紹介文は下記の通り。
「混沌たる世界を支配する、究極の物理法則「べき乗則」。それは砂山の雪崩、地震、絶滅などの自然現象だけでなく、株価変動や流行といった社会現象にさえ見出せる。自らの発見を可能にした科学の進歩過程にも現われるこの法則を、人為と偶然の蓄積である「歴史」全般に敷衍したとき、私たちが手にする驚くべき洞察とは……統計物理の基本から壮大な応用可能性までを語りつくす、スリリングな科学読本」

当時、正規分布マンセーな自分は、金融デリバティブや金融リスク管理の何が問題だったのかということに躍起だったような記憶がある。
そこで、このベキ乗則の存在を知った。

まあ、資本市場はこの出来事に対し、手法の見直しではなく規制を強化することで対応し、個人的にも興が削がれたような気持ちではあった。

なぜ今になって引っ張りだしてきたかというと、ネットワークサイエンスが個人的にホットだったので‥ということだ。

当時はまったく気づかなかったが、6次の隔たりの件があったり、解説に増田先生が寄稿されていたりと、なかなか円熟味の増す内容である。

本書はこのベキ乗則が日常の物理法則や歴史の出来事などにも当てはまると事例ベースで平易に紹介してくれている。
目次は次の通り

第1章 なぜ世界は予期せぬ大激変に見舞われるのか
第2章 地震には「前兆」も「周期」もない
第3章 地震の規模と頻度の驚くべき関係:「べき乗則」の発見
第4章 べき乗則は自然界にあまねく宿る
第5章 最初の地滑りが運命の分かれ道:地震と臨界状態
第6章 世界は見た目よりも単純で、細部は重要ではない
第7章 防火対策を講じるほど山火事は大きくなる
第8章 大量絶滅は特別な出来事ではない
第9章 臨界状態へと自己組織化する生物ネットワーク
第10章 なぜ金融市場は暴落するのか:人間社会もべき乗則に従う
第11章 では、個人の自由意志はどうなるのか?
第12章 科学は地続きに「進歩」するのではない
第13章 「学説ネットワークの雪崩」としての科学革命
第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか
第15章 歴史物理学の可能性
訳者あとがき

どうだろうか?

少しでも興味を持っていただければぜひ読んでいただきたい。


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